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上空580メートルへ薔薇を。

お正月は実家で雪に閉じこもっていたりんご家族にも、帰る日がやってきた。

広島市内までは、雪の運転に慣れている弟の運転する車に同上。
(弟一家は広島市内に在住)

ランチを一緒にとったあと広島駅近くで降ろしてもらい、駐車しておいた我が家の車ちゃんと再会。

駐車場でお利口にしていたかしら。寂しかったかしら。

首尾よくお土産を積んで乗り込み、さあ神戸に向けて出発。

私:「いくらくらいかな
夫:「一泊500円として・・・三日だからなあ・・・まあでもそんなにせんやろう」

チケットを入れて・・・計算中。

さあ、気になる金額は!


!!!!!!!!!!!!!!
ぎょえ~っ!


その金額を見た瞬間、マジで心臓が跳ね上がるかと思った。

たっ高い!なんで?

もしかして、2、3日しか滞在してないと思ってたけど、
竜宮城みたいにあたしら2、3週間くらいおったんやろうか・・・。
あの田舎なら考えられる・・・
雪に閉じ込められてる間に時間が歪められたのかもっ!!!

と思ってしまうくらいの金額。

よくよく見ると一泊500円、そして、普通は「一日最大1500円」とかかいてあるのに、どこをみても「最大」の文字がない・・・。

てことは、一日無制限にとられてたってことよね・・・(涙)

確かに、ものすごく駅に近いんだもん、それくらいはするよね・・・。

が、がっくし。

夫:「でも払わんわけにはいかへんしな・・・。
まあでも、他にも駐車場あったやろうけど、そこに止めてなかったら、
あの快速には間に合わんかったし・・・もっと遅くなってたら、雪道危なかったやろうし」

私:「そうそう。あの快速に乗れたのは大きいよ。二時間は違うもん。
時は金なりっていうし、時間を買ったと思えば・・・」

と、無理やりに納得させようとする不憫な夫婦・・・。

そう、その金額は、くしくも数日前、私達が泊まった温泉宿の大人一泊分くらいの金額。

あたし達が、

温泉に入ったり、牡蠣とか炭火焼きとかたらふく食べたり、海の見える部屋で泊まったり、薬膳粥の朝食を食べたり、毒だしサウナに入ったり、ひじきのしゃぶしゃぶの昼食をたべたりした分を、この車はただそこにとまっているだけで消費してしまったのだ!!!


私:「ちょっと市内車で回ってから帰る?」

その時すでに午後3時を過ぎていて、これから高速に乗って神戸までのロングドライブが待っている。

早く帰ればいいのはわかっていたけど、なんとなくそう言ってみた。
そう、私は10分くらいの車中見学のつもりで提案したのだけど・・・。

夫:「原爆ドーム見に行こう」

広島県出身の私にとって、特別な意味のある原爆ドームに、夫が行こうと言ってくれたのは凄くうれしかった。だけど・・・。

市内は初売りで大混雑。原爆ドーム付近は、大型商業施設やその駐車場も多くあり、とても混雑するのだ。駐車場はどこも満車だ。

おまけに姫りんごちゃんがぐずりにぐずったあげく、眠ってしまった。できればこの寝ている間に帰ってしまいたい気持ちも・・・。

私:「姫も寝てるし、どこもいっぱいだし、遅くなるから帰ろうよ」


夫:「・・・オレは行きたいねん。
あの駐車場はベストの選択やったとは思うけど、やっぱりあの金額は痛いねん。
だからサクちゃんに原爆ドーム見せて、なんかこう、意味のあるものにしたいねん。」

なるほど・・・。

たしかにただムダに取られたと思うと悔しいが、「平和教育」だと思えば意義のあるものになる。

原爆ドーム。

爆心地にほど近い、大きな川のそばに建てられていたこの建物。
もともとは産業会館とか、そういうものだったらしい。

丸いドーム型の天井、煉瓦の壁。
もともと、とても美しい建物だったんだろうなあ。ちょっと洋風の。

2008_01050078

それがこうして象徴的な姿で残され、今では「ヒロシマ」のシンボルになっている。

誤解を恐れずに言うなら・・・
原爆ドームって、美しいな。
と、改めて思った。



私:「サクちゃん、ここにね、戦争で大きな爆弾が落ちて、たくさんの人が死んだんだよ」

と、言ってみた。
サクちゃんは5歳。まだ早いか。いや、いいチャンスかもしれない。

サクちゃん:「え、お母さんそれ、見たん?」

私:「ううん、見てないよ。お母さんが生まれるずっと前のこと。ジイジもバアバもまだ生まれてないころ。ひいばあちゃんは生まれてたけどね」

サクちゃん:「ひいばあちゃんは、見たん?」


うう~ん。そっか。
ここはとても美しく整備された公園。目の前にとてもきれいな公園があるのに、昔ここに爆弾が落ちて・・・と言って聞かせても、それをこどもに納得させるのは難しいな。

そこで、原爆ドームの近くに連れて行き、建物のまわりに散らばった瓦礫や、壊れた壁を見せながら、

私:「ほら、あそこが爆弾が落ちたところ。バラバラになっているでしょう」

と言ってみた。

サクちゃん:「ああそうか」


目の前にあれば、こどもは納得するんだ。
そういう意味でも、原爆ドームが奇跡的に残った意義は大きいんだなあ。

そのあと、公園内を歩いて平和記念式典の会場にもなっている記念碑へ。

冬なのに、たくさんの花が供えられていた。

記念碑には、
「安らかにお眠りください あやまちは二度とくりかえしません」
と記してある。

2008_01050081


私:「サクちゃん、お祈りしよう。もう戦争はしませんからって」

サクちゃん:「声に出してお祈りしてもいい?」

何かを感じてくれたのか、そう言って声に出してお祈りをしてくれたのが、嬉しかった。


ちょっと早いかもしれないとは思ったけど、
このタイミングで、ちょっと無理してでも、サクちゃんと来れてよかった。

公園内には、古いものでは樹齢60年の大きな記念樹をはじめ緑がいっぱいで、広々としていて、歩きたい症候群の姫りんごちゃんも嬉しそうによたよたと歩いて、周囲の人を和ませていた。

2008_01050080 
あたちも平和について考えてみました。

ああ、本当にこどもたちとこれて良かったなあ。
ありがとう、旦那さま。

どちらかというとこう見えて計画的でせっかちな私は、行きあたりばったりで寄り道、回り道をするタイプの夫に時々イライラすることもあるけど、
こんな風に、回り道をしていろんな大事なことが見えることもある。
そしてそれがすごい奇跡を運んでくることがある。

今回も、そうだった。
大混雑でぐるぐる回ってやっと見つけた原爆ドーム近くの駐車場。
なんとそのすぐ側が「爆心地」だったのだ。

原爆ドームは実は爆心地から数百メートルほど離れている。

本当の爆心地は、繁華街の駐車場がひしめく一角の、おそらく個人所有の敷地内にある。
そのことは知識として知っていたけど、その場所を訪れたのは初めてだった。

1945年8月6日。
世界で初めての原子力爆弾が投下されたその場所には、一枚の案内板がひっそりと立てられているだけだった。

「・・・・エノラゲイによって投下された原子爆弾は、この地点の580メートル上空にて炸裂・・・」

上空580メートル。

私は空を見上げてみた。
晴れて薄い冬の青空が見えた。

この上空で世界初の原子爆弾が・・・。

と思って見上げた私の目に入ってきたもの。
個人の手によってベランダに植えられた、たくさんの花と植物。

マンションのような建物の、2階から5階まで全ての階のベランダにたくさんの草花が植えられていた。
ベランダガーデニングというには素人っぽい感じだが、ぱっと見て、よく手入れされていることがわかる。

冬なお可憐な花をつけているピンクのゼラニウム、緑のツタ、花こそつけていなかったが、愛と平和のシンボルとされる薔薇もいっぱいあった。

そのたくさんの植物の様子から、ただのガーデニング好きさんのベランダガーデニングとはなんというかちょっと違う印象を受けた。

たぶん、その上空に、花をたむけるような気持ちで植えられたものではないかと私は思った。

初夏にはきっと見事な薔薇の花が咲くことだろう。
その空を見上げた人の目に、たくさんの薔薇の花が写るだろう。

原爆が投下されたその地点に、花を植える人がいる。

そのことに私は静かに感動した。
と同時に、なんだかとっても心強く思った。


色々な偶然、タイミングでこの場所にこれて本当によかった。


私は上空を見上げて平和を祈った。



こどもたちの生きる今が平和でありますように。

それからこどもたちのために、私にできることがちゃんとできますように。
ベランダの花々のようにさりげなく。





今回はちょっとシリアスな内容なので育児ブログにはどうかなと思って、アップするのちょっと悩みました。

だけど、
政治的、思想的、宗教的なものとは関係なく、
二人の子供の母親として、広島で私が感じたことを書いてみました。

ベランダの花々のようにさりげなく伝えられたらと思うのですが、
文章力が足らず、もどかしいです。

でも、ちょっとドキドキしながら、勇気を出してアップしてみました。




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コメント

広島‥高校の修学旅行のときに部活の大会が重なり、広島の日だけ行けず(関西方面の修学旅行でした)原爆ドーム行ったことないんです。是非今年中に行ってみたいと思います。りんごさんのメッセージ、伝わってきましたよ!

投稿: スヌーピー | 2008年1月14日 (月) 23時23分

ふわぁぁぁ。やっぱりすごいなぁりんごさんは。
なんかこう、胸が熱くなります。。。
一層ファンになったヨーコです。

投稿: ヨーコ | 2008年1月15日 (火) 00時09分

私も娘が生まれる前に主人と二人で6時間かけて原爆ドームを見に行ったことを思い出しました。
信州という遠い場所にいた私は教科書や写真でしか知らなかった原爆ドーム。実際に見て感じたことが沢山ありました。
写真や教科書では伝わらないものがきっとサクちゃん、姫ちゃんにも伝わったんですね。
私も娘を連れて必ず行きたいところです。
りんごさんのメッセージしっかり伝わってきましたよ~!


投稿: おかん | 2008年1月15日 (火) 11時14分

アップしたこと、間違いではないですよ。
地形や天候、あらゆる条件で選ばれてしまった広島。亡くなった多くの人たちの冥福を願わずにはいられません。

私は小学生の時から原爆記という分厚い本を図書館から借りてきて個人の記録を読んで心に留めておくくらいしかしていませんが、戦争体験には一人一人の物語があってどれも衝撃的で読みふけっていた記憶があります。子供達にも今はアニメで教えていくだけなのですが、どうして戦争がおきたのか、なぜアメリカで一番に原子爆弾が成功したのか、なぜ日本が選ばれたのか、広島に落とされたのか、学校では教えてくれない歴史を教えていきたいと思っているんです。

今回の日記、素晴らしかったです。

投稿: 北の香り | 2008年1月16日 (水) 12時01分

けっこうドキドキしながらアップしたので、今回のみなさんのコメントにはなんだか勇気付けられました。

スヌーピーさま、
修学旅行などでないとなかなかいけないですよね。
でも普通にお好み焼きも美味しいし、
「いいとこじゃけえ、きてみんさいね~」
(訳注;いい街なので訪れてみてください!)


ヨーコさま、
すごいだなんて・・・恐縮です・・・。
なんか、嬉しかったです。ヨーコさんのコメント。

おかんさま、
まあ、6時間もかけて、
「まあまあ、よう来ちゃったねえ」と広島弁で歓迎したい気分です。
nagiちゃんが大きくなったらぜひ!市内にはチンチン電車も走っているので、こども(サクちゃん)は大喜びでした。


北の香りさま、
ひとりひとり・・・とおもうと、そうですよね。
平和記念公園内にはいろんな記念碑があり、そこに長い間たたずむご年配のご婦人などを見ると、そのひとりひとりの物語をすこし想像して胸が痛くなります。

こどもに教えるのって、ほんと大切だけどむずかしい。
とくに男の子の場合、やっぱり武器とか戦いごっことか好きじゃないですか、テレビだってみんな戦いの話しだし。そういう子に、どうやって戦いはいけないと教えればいいのか・・・いろいろ悩みますね。
また北の香りさんのこどもへの伝え方など、教えてください。

投稿: りんご | 2008年1月16日 (水) 15時11分

内容もさることながら、タイトルもすばらしい。
姫りんごちゃんのマントも気になりましたけど。
一番気になったのは車を置いていかないと行けないほどの雪にです。毎年こんなにどっかり降るんですか?

りんごさんが、広島で感じたことが
しっかり伝わってきました。
高校の修学旅行で、真っ先に訪れたのが広島でした。

投稿: ゆ | 2008年1月17日 (木) 12時22分

恥ずかしながら、まだ広島を訪れたことのない私・・・。
いろいろなことを思いながら、読ませていただきました。そして、いつか 行ってみたいと思いました。戦争を知らない世代だからこそ、五感を研ぎ澄まして、感じることをしたいと思いました。

だんなさま、素敵な方ね。こどもたちも、よい機会に恵まれたわね。りんごさん、ありがとう。

姫ちゃんのマント、私も気になった~。かわいい~~~。

最後に、駐車場代、大変でしたね。

投稿: tokko | 2008年1月17日 (木) 13時27分

ゆさま、
タイトル、最初は別のタイトルで書いていて、(何日かかけて書いている間に)ふと思いついたのでこのタイトルになりました。
マントはおさがりで頂いたものなんです。
雪は、毎年こんなに降ります。去年は少なめでしたけど、おととしはもっともっと降りました!

tokkoさま、
機会があれば・・・ぜひ。
このマント、フードをかぶると、ほぼ雪だるまになります。

そう・・・駐車場代・・・ほんとに痛かったっす・・・。

投稿: りんご | 2008年1月19日 (土) 00時19分

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