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沙羅の木の前で

毎年この時期になると温泉に出かけます。行き先は日帰りできる有馬温泉。

なぜこの時期かというと、しっとりした雨の風情が古くからある温泉地によく似合うのと、一年のうちでこの時期にしか見ることの出来ないものがあるからです。

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有馬温泉は念佛寺の中庭にある沙羅の木です。

樹齢250年の沙羅(ナツツバキ)の大木が花を咲かせるこの時期にだけ、お寺の拝観が許されているのです。

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一年目は花の時期が終わっていてお寺に入ることができませんでした。
去年は大きなお腹での温泉入浴はきつかったこともあり、サクちゃんと夫がお風呂に入っている間、お腹にいた娘とともにゆっくりと花を眺めながらお寺での心静かなひとときを過ごせました。

今年は・・・。
大人しいふとめちゃんはともかく、とにかくじっとできないサクちゃんと一緒にお寺に入ることなんてできるのかな~と思いながらも、さいあく別行動覚悟で挑戦してみることにしました。

まずは暴れん坊の4歳児を「お腹をいっぱいにさせ」「お風呂に入って適度に疲れさす」作戦です。

有馬温泉の老舗旅館「月光園」で、マクロビオティックのランチバイキング(食後の入浴付)があるというので今回はそちらを利用。

さすがに老舗旅館、なかなかしっとりと雰囲気のあるたたずまいで、久しく旅行していない私達夫婦にとってはひそかにテンションUP↑。

ただし、ついでに四歳児のテンションもあがり、入ったとたん速攻でロビーを駆け回っています。
ああ、先が思いやられる。早くあいつをなんとかしなければ・・・。

まずは満腹作戦。
ヘルシー志向のバイキングで、アレルギー表示もされていて大助かり。しかもほとんどの料理が卵を使用していません。うれしい~。

ふとめちゃんも、レーズン入りサツマイモの煮物や蒸し野菜など、たくさん食べられるものがありました。

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さあ、サクちゃん、山盛りだよ~たんとお食べ~。

食後は早速お風呂♪
赤ちゃんも入れるそうなのでふとめちゃんも初挑戦。

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まずは露天風呂。川沿いの小道を歩いて露天風呂へ。

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しとしと雨のなか、あたりの緑が鮮やかです。

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緑の向こうに湯けむりが。う~ん、いいですねえ。

脱衣場でふたりとも裸になり、露天風呂の入り口を開けてすぐに後悔。
ぼこぼこと沸きだす温泉はなんとも怪しい濁った茶色。しかも、熱そう。浴槽は一つのみ。

し、しまった・・・露天風呂は赤子には熱すぎた・・・。
桶に湯を取って冷まし、ふとめちゃんの足にかけてみました。

いきなり裸にされて外に出され、なにやら茶色い液体をかけられて、ふとめちゃんは号泣。

浴槽に入ることなく入浴タイム終了。

やっぱり温泉デビュー、早かったかしら。
仕方がないので、早くも二個目の内風呂に入浴中のサクちゃんと夫をロビーで待ちます。

出てきた夫に交代してもらい、私もしっかり温泉楽しんできましたよ。

ああ~久しぶりの温泉はええな~♪

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お風呂あがりに有馬サイダーを飲んで、ぷはーっ!

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「アタシもなめたいよ~」

お腹いっぱいになって、お風呂二つも入ったらさすがのサクちゃんも大人しくなるでしょう~。


いざ念佛寺へ。
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やっていました!沙羅樹園。

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お寺の中庭にはお座敷にいくつかの座卓が用意され、座敷や縁側から沙羅の木を眺めることができます。

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座って眺めると、木全体を見渡すことはできません。それよりもむしろ、緑鮮やかな苔の上に落ちた沙羅の花を眺めるのです。

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沙羅の花は咲いて一日で落花するそうです。

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落ちた花を眺めて美を感じるなんて、まさに日本の心ですなあ。

しとしとと降る雨が苔むした庭にぴったりです。庭の向こう側は湯けむりで白く霞み、あたりはとても静かで、沙羅の木の葉っぱに雨の落ちる音がします。

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パンフレットにはこんな一文が。

「沙羅の花に対しては、おしゃべりはつつしみましょう。静寂にふさわしい花だからです。黙坐していますと、落花が、雀石や蛤石をぴしっと打つ音がします。まこと天地の消息を心に聞く思いがいたします。そして、心のしずまりを得た後は、勇気りんりんとして世の中へうって出ましょう」

素晴らしい文章です。まったくもってその通りです。
し、しかし今の私達にとってはこの文章がものすごいプレッシャーに・・・。

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拝観はほうじ茶とお菓子つきです。

サクちゃん用に少し冷ましたお茶も用意していただきました。なのに・・・この暴れん坊ったら!ちっともじっとしていません。

その上、眠たくなったふとめちゃんが泣きだす始末・・・。

お茶を出していただいたお寺のご婦人に許可を得て、座敷でこっそり授乳させてもらいました。

ご婦人のさりげない気遣いで、ほかの拝観客の方を、私達とは少し離して案内されていたので、本当に助かりました。

沙羅双樹の木を眺めながら授乳とは、まことにありがたいかんじ。

サクちゃんも、夫が座禅やヨガの釈迦のポーズを教えたら、面白がってマネをし始め、奇跡的に大人しくなりました。

まさに奇跡です!

なんだか落ち着いてニコニコしていい顔をしています。

私:「ほら、静かにしてると雨の音が聞こえるよ」
サクちゃん:「鳥の音もね!」

そんな親子の前で真っ白な沙羅の花がぽとりと落ちました。

夫:「あ、落ちた!」
サクちゃん:「ぼくも見た!」

・・・これぞ奇跡です。

すっかり心おだやかになった様子のサクちゃん。

お寺のご婦人が、そんなサクちゃんを見て、
「あら、いいお顔になってるね」
と。

やるやん、サクちゃん!やっとこの場の空気を読めるようになったか!母は嬉しいぞ!

そういえば、おしゃべりをしていた隣のおばさまもすっかり静かになっています。なんだかここはそういう場所みたい。

はあ~、久々に心やすらぐひととき。

サクちゃん、すごいね。お兄ちゃんぽくなったよね。と、思ったのも束の間。

お寺を出たとたん、お寺の前の見事な石庭に侵入する何者かの映像を目が捕らえたような気がして見てみると・・・。

あれは紛れもなくうちのバカ息子じゃないか~い!!!!

前言撤回!

静寂だったのは、きっちり沙羅の木の前だけ。まあそれもある意味「空気読んでる」ことかもしれないけど、なにも寺を出たとたんそないに速攻で暴れん坊に戻らんでも!

私は寝ているふとめちゃんを抱っこしていて両手がふさがり、段差に気をとられ、そして夫はスニーカーの紐を結んでいる間のほんの一瞬の出来事でした。

幸い石庭に被害はありませんでしたが・・・。

私達も油断していて詰めを誤りました。

教訓;暴れん坊の幼児とお寺に行くときは、ハイカットスニーカーはやめましょう。

まあそれでも。

しっとり温泉地の心静まるひととき、小さな旅行気分の雨の一日でした。
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コメント

なんてすてきなお話なんでしょう!!

うちの子の温泉デビューは、4か月頃でした。
もう何度も入っています。
実家のお風呂が壊れたので、実家へ行くときはいつも近くの温泉へ行っています。

投稿: | 2007年7月 3日 (火) 09時19分

本当に、素敵なお話。
きれいな景色に癒されましたよ~。
すっかり引き込まれ、サクちゃんが静かになって沙羅の花が落ちるあたりでは、うるっときそうになりました。
でぇもぉ~、さすが、サクちゃん。オチもぬかりなく、笑わせていただきました。

それにしても、温泉といい、お寺といい、贅沢な時間の過ごし方を知っていらっしゃる。
私も、しばらくぶりに温泉に行きたいなぁ~。
日帰りでも十分に楽しめるのね。

投稿: tokko | 2007年7月 3日 (火) 09時53分

ゆさま、
わお~温泉デビュー、早かったんですね!すごいな~。
どんな風にして浸かれば泣かないんでしょう?
慣れですかねえ。(親のほうも)

tokkoさま、
ええ、そうなんですよ。ぬかりないんですよサクちゃん。
そして帰り道中ず~っと(温泉地の風情ある石畳の階段を)
「ヘン顔の仮面ライダー」という芸(?)をしながら歩いていました・・・。あいつ・・・。
日帰り温泉、けっこう楽しめましたよ!

投稿: りんご | 2007年7月 3日 (火) 13時00分

雨の風情と、この時期にしか咲かない沙羅の花を求めての旅・・・本当に風流ですね。
育児をしていると、目先のやらなくちゃいけないことに振り回されて、心のゆとりを忘れてしまいます。
りんごさんの「季節を楽しむ」という心の持ち方、あこがれます。
こんなお母さんに育てられる、さくちゃんと姫りんごちゃんはきっと素晴らしい感性を持ったお子さんに育つんだろうなあ。

それから、旅のお写真も素敵!
雨にぬれた新緑がきれいです~。

投稿: りんず | 2007年7月 3日 (火) 15時06分

りんずさん、

季節を楽しむようになったのって、意外とこどもが生まれてからなんですよ。
ひなまつり、端午の節句、今なら七夕・・・けっこうこどもと楽しめる行事があるので、こっちも楽しませてもらっています。

雨の新緑いいですよね~。

投稿: りんご | 2007年7月 4日 (水) 15時17分

夏椿いいよね
静けさと清らかさ
冬の赤い椿もいいけど
夏の白い椿も力強さを感じます

投稿: 京都のおじさん | 2007年7月 5日 (木) 22時31分

京都のおじさま、
ナツツバキ、いいですよね~。

夫が、
「またこっちに来はったときに有馬温泉でもどうどす~?」
(↑原文のままです)
と、言っていますよ。

ぜひぜひ。

投稿: りんご | 2007年7月 5日 (木) 23時30分

いいすねえ
でもハルちゃんどうしようかな・・・

投稿: 京都のおじさん | 2007年7月 6日 (金) 12時51分

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